【映画感想文】THE PROMISE 君への誓い(ネタバレ)

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The Promise

「THE PROMISE 君への誓い」クリス・コーネルのの最後の仕事を見届ける気持ちで東京新宿の劇場にて初日に見てきた。

ラブロマンスを絡めた史劇大作で堂々たる王道作品。
政治や戦争の残酷描写を抑えてレイティングや分りやすさに配慮したとパンフレットにあるが、そここそがこの虐殺の歴史を知らしめたいという思いがプロダクションにこもった証拠ではと思う。
当時のオスマン帝国とアルメニア人に関する説明は作中になかったが、主人公の服装が他と違う、トルコ人の登場人物は男性のみで何を考えているかわからない隣人として描かれている、そして宗教が違うということが印象的な礼拝のシーンで描かれて、彼らの置かれた状況は、政治ではなく生活として表現されていた。

主人公の友人にトルコ人高級官僚の子息がいて、この陽気で平凡なキャラクターが印象に残った。友人のクリスチャン・ベイル演じるアメリカ人ジャーナリストがスパイ容疑をかけられ今にも処刑されんとするとき、二人はこのような会話を交わす。

「ここで死ねば何もかもなくなる。(容疑を認める書類に)サインすれば解放されるんだ」
「なくならない。君が覚えている」

主人公を助けたことで望まぬ軍隊に放り込まれていた彼は、その瞬間まで運命をぼやいていて、すでに残酷な迫害にさらされている主人公とは雲泥の差の境遇にある甘い青年であるのだけれど、おそらくその性格のゆえに、真実を伝えるこのジャーナリストの天命を受け継いでしまう。
彼はおそらく深い決意も正義感もないまま、友人を助けたいためだけにアメリカ大使館に連絡し、ジャーナリストを救う。そしておそらくは反逆罪に問われ処刑される。
このように素朴な好意や良心から人を助けた人もたくさんいただろうと思いたい。

人格高潔でもない普通の人の描写はオスカー・アイザック演じる主人公にも共通していて、彼も、特に政治的な主張もなく、迫害に至る前に差別的な待遇にあっても抗議をするような性格でもない。彼の関心事は常に身の回りのこと。故郷で結婚の約束をし持参金を学費にと援助してもらった婚約者とその家族。にもかかわらず恋に落ちてしまった都会で出会った女性。彼女の恋人であるジャーナリスト。そしておそらく、いつか医学校を卒業して診療所を開業することになる故郷。 物語の前半では、山岳地方の故郷、鄙びたアルメニア人村での平和そうなお祝いの光景と、大都会イスタンブールの美しさ、上京してきた若者の青春の高揚感が丁寧に描かれる。

主人公の平凡さは身近な生活の視界を観客に伝え、ジャーナリストの活動の様子が窓口となり、社会と世界で何を伝えているかを映し出す。状況は切迫し、登場人物は離れ離れになり、苦難の旅路の中、また巡り会う。

こうした古典的な脚本と演出によって描かれる世界は重厚で、東欧や中東のとば口の文化はエキゾチックで美しく、世界史の古代の章で散々聞いた地名のオンパレードだ。最後主人公たちの一行が目指す山は「モーゼ山」アラブでそう呼ばれるその地は旧約聖書に登場するシナイ山を指す。主人公たちはモーゼのルートを逆に進むのだ。

クリス・コーネルの主題歌「THE PROMISE」は2016年のリリース当初から聴いていて、バージョンは普段のソロと同様の最小限のインストルメントで演奏されるものと、映画のエンディングで流れるオーケストラをバッキングにしたものとふたつある。
美しいがこんなポピュラーな曲がこんな映画にどのように合わされるのだろうと思いながらも話に引き込まれてすっかり忘れていたのだが、第1音目のピアノでドッときてしまった。

エンドロール前に引用されるアルメニア系アメリカ人作家のウィリアム・サロヤンの「アルメニア人が二人いればそこからアルメニアが始まる」という詩を受け、名もない「僕と君」が「生き抜く」と約束するという歌詞も完全にマッチしていた。
不幸があり、彼の名前は普通のサントラの仕事以上にこの映画とともに記憶されることになってしまったと思うが、いい意味で映画の一部分として素晴らしい仕事だったと思う。
また、トルコによる数度のアルメニア人虐殺時にはギリシャ系民族の虐殺もあったといい、彼の奥さんがそのギリシャ系であることで特に強く力を入れた仕事であったそうだ。ギリシャ国内の難民キャンプに家族で訪れ、子供達と戯れる様子が報道されてもいた。

クリスの曲の後には、サージ・タンキアンとアルメニア人女性シンガーによるアルメニア民謡のデュエットが流れた。これもまた物悲しい旋律と神話のような歌詞を持つ恋歌で、優しいサージの声と女性シンガーの可憐な声が絵のようにイメージを膨らませる(ちょっとジャズ調ピアノも入ってモダンでもある...)。
サージは、System of a downでの活動でもアルメニア系アメリカ人としての主張が古くからある人で、同一のテーマを描くアダム・エゴヤンの「アララトの聖母」を私が観たのも、SOADの成り立ちが記憶にあったためだ。
サージにとっては、クリスは民族的な背景を理解し、その主張に賛同して同じプロジェクトに参加したとも言え、映画の中でも主人公たちが安息するアメリカの地での友情らしい光景なのではと思っていた。

この通り個人的には印象に残る映画だった。時間も長く、中盤からは辛い展開なので、何回かは観る仕事があると自認しつつも辛いかもという鑑賞中の感想に反して、エンドロールに入る瞬間の感覚をもう一度感じたくて出かけると思う。
クリス・コーネルやサウンドガーデンのライブに何度か飛行機に乗って出かけたのも、そういうもう一度あの感覚を感じたいという気持ちがやみがたかったからなので。

あの、最初の1音目で会場の空気を変えてしまう不思議な瞬間。
その音は、観客を、エンドロールに入る瞬間に21世紀に連れ戻す。
約束の相手が、焼け残った写真にだけ残る現在へと。
主人公が最後のアメリカでのシーンで同胞に向けて語ったように、全ての亡くなった家族はそこにいて生者を守っている。
それこそが約束だったのだ。

(という感想を述べたので次回はTHE PROMISEの翻訳でもしようかね...)

I finally watched #thepromise on the first day in Tokyo. It was an amazing movie. I simply loved it. The theme song "The Promise" was perfect for the movie, I really think so. The lyric was followed the last phrase of William Saroyan's poem and the first note of the song made me move and bring back to 21th century. All of his work encouraged more me to listen and feel his music, and this last work too. I'm going to the theater again next weekend, to listen his song. In the same way as so far. #keepthepromise #noonesingslikeyouanymore #chriscornell #badatenglish で、日本語の感想はこちら。映画そのものの感想も書きました。 http://www.liquiddive.com/blog/2018/02/04/the-promise/ ところで最後の写真は主人公の妻の役の人ですが、画面でみると実にアルメニア美人なのではと思わせるアルメニア人の女優さんです。アルメニアっぽい顔のサンプルはSOAD(とくにダロン・マラキアン)とアトム・エゴヤンくらいなんですが。

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【旅行記】2016.4.30.真田郷へ

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上田駅からバスで30分ほどの真田郷へ。

天気が良くて爽やかです。
ちょっとドキドキと書いたけど本当はそれどころじゃなくてですね、本で復元図と、GoogleMapで地形みたりしていたので、あっ今地図で見たあのあたりにいる、と思った時ガっと入り込みましたよね。

【旅行記】2016.4.29.上田城へ

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ゴールデンウィークに入った4月29日から5月1日まで、長野県上田市に旅行してきました。
前回の12月の更新の後、大河ドラマの「真田丸」があまりに面白いので、周辺の歴史の本など読んでいたらどうしても現地に行きたくなってしまい...

草刈正雄さん演じる真田昌幸公は普通に歴史の本読んでてもほんっとに面白くてすっかり好きになってしまいました。ドラマもすごい面白いので、ぴったりはまったキャストで色々想像するのも楽しい。

そういうことで、久々の更新が音楽の話ではなくすいません。大河ドラマ観ようよ!
今はもう大坂が舞台になってしまっていますが、今回出かけたのはそれ以前のお話のメインの舞台、真田一族発祥の地と、山からおりた開けたところに作ったお城です。
Instagramで更新した写真でまとめておこうと思いました。



クリス・コーネルさんライブレビュー絵も絵も描きました。これで今回の祭りには思い残すことはない!文章は下手なりにブログの内容をまとめたものです。ぐちゃぐちゃ書きたいけどこれが限界だー

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【Live Review】Chris Cornell Acoustic Higher Truth Tour 2015

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弾丸ツアーでシドニ−2デイズ行ってきました。帰りのヒコーキで書いた二日間通しての感想です。ライブの細かいところはまた書きます。

今回は仕事が詰め詰め、今日も本当は職場にいないといけないんだけど、洗濯とKroq Almost Acoustic Christmasにもジェットセッタークリスさんが出るのでお家にいました...

では。アドレナリンが出すぎて、ちょっと頭おかしいですけど、許してください。

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ご無沙汰しております。ソロ新譜「Higher Truth」も発売してすっかり祭り状態です。
年末はオーストラリアに弾丸で2公演観に行ってこようと思っています。

いくつか記事を読んでますが訳せたものからおいおい載せていこうと思います。
下記は、Entertainment Weeklyから。

Mad Season's Reunion Show with Seattle Symphony

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1月30日、シアトルシンフォニーのクロスオーバー企画、「Sonic Evolution(シアトルシンフォニーのプログラム/チケット販売ページ)」で、Mad Seasonの再結成ライブが行われました!会場は、シアトルのBenaroya Hallという2000人クラスのオーケストラが演奏できるホールです。

Layne Staleyや当日別所でライブのためいないMark Laneganに代わり、Chris Cornellがボーカル参加。またDuff McKaganも参加と最初からアナウンスされており、見られたシアトルっ子がほんと羨ましい〜!

また、当日は3名のゲストがあるとMike McReadyからアナウンスがありましたが、Stone Gossard、Jeff Ament、Matt CameronのTemple Of The Dog組が参加。TOTD曲も2曲ついて、さらに最後の曲"All Alone"では、レイン・ステイリーがテープでボーカルを執り、Sean Kennyがパーカッションで参加という内容でした。

動画などがあがってきてたものの、まとめです。

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遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
投稿は滞りがちですが、これからもこのブログは細々でも続けたいと思っています。どうぞよろしくおねがいします。

そして、新年なので少しリニューアルしました。やりさしだったスマートフォン、タブレットの対応してます。多少読みやすくはなったのではないかと。Saccharine Overdrive Template Ver.6です。

今はおもにソーシャルのほうに投稿しているので、次は、それらへのアクセスをぼちぼちつけていきたいです。

今年もよろしくおねがいします。音楽もう少し聞ける生活にしたいですね〜...

Tom Morelloの「怒りの葡萄」トム・ジョードの亡霊

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Tom Morello & Chris Cornell - 15Now Benefit - El Corazon Seattle 9.26.14

9月25日、シアトルの15NowというライブハウスでTim Morelloのチャリティ・ライブが行われました。
ここにはAudioslave解散以来7年ぶりくらいにChris Cornellがゲスト参加と予告され、話題に。
フルライブは、すぐにYoutubeに上げられ、私も興奮しつつ観ました!

動画のコメントより、セットリストはこちら。

Setlist (according to the video):

  1. Sleep Now in the Fire cut (Rage Against the Machine)
  2. Save the Hammer for the Man (The Nightwatchman)
  3. (What's So Funny 'Bout) Peace, Love, and Understanding (Nick Lowe)
  4. Imagine (John Lennon)
  5. One (U2 with a bit of Metallica - One lyrics)
  6. I am the Highway (Audioslave)
  7. Doesn't Remind Me (Audioslave)
  8. Your Time Has Come (Audioslave)
  9. The Ghost of Tom Joad (Bruce Springsteen)
  10. Cochise (Audioslave)
  11. This Land is Your Land (Woody Guthrie)

クリス・コーネルのソロではギター1本で演奏されていたAudioslaveの曲が、トム・モレロのあのストレンジなギターでバッキングされて聴けるのは久々で、ものすごく感慨深くぐっと来ました〜。I am the highwayなどTVの前で歌ってしまいました(Apple TVなのでYoutubeはTVで観れるの。オススメです)

Matt Cameronさんプライベート来日のまとめ

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Twitterでも一部話題になっていたので、ご存知の方も多いように、Matt Cameronさんが来日されていました。 楽器屋さんでの目撃情報、同時期来日していたJeff Beckのバックステージでの様子を写真家Ross Halfinが日記に載せた件などに交えて、KillertomattoさんがMixiのコミュニティにエピソード、写真などをあげてくれた件を、許可をいただきましてこちらに転載いたします。
(楽器屋さんとRossさんからは無許可ですごめんなさい)

Killertomattoさん、シェア有り難う!
そして日本のファンのためと写真におさまってくれたMatt Cameronさん、大好きです!
Soundgardenでの来日、いつまでも待ってます!

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photo:Killertomatto: