感想
この写真と黄色と黒のエマージェンシーカラーに引き寄せられ、即ジャケ買いでした。
知らないところで何かが始まっていたということを語るような、このバンドの本格的な始動を飾る、のちのムーブメントの胎動期の作品です。
今にして思うと、これを最初に聴いてよかったのは、音そのものが扇情的だったということじゃないでしょうか。
歌も大してうまくないし、歌詞も意味不明でエモーショナルとか人間らしい表現形態というよりは、もうすこし雄叫んでいるというか、叫ぶように笑っているというか、韜晦ぎみ。その後のグランジのイメージにこびりつく情緒的なものは皆無。
調子っぱずれでドロドロなのに乾いたギターは、メタリックだけどStoogesみたいなレアーな感じもしたし、Full on kevin's momのような速い曲でのドラムはすでに殺人的なキレ。
べースもポップな所に飛翔しようとする曲を追いすがってアングラに押しとどめようとするかのような、底知れない恐ろしい感じを受ける音でした。
そんなふうにパートごとの音響的な怖さと、演奏の均衡がとっちらかる寸前のタイトさという感じで。このあと出たライブビデオがそれを裏付けていました。"Louder than live"早くDVDになればいいのにね。
このあと、音楽の方向性は、浮遊感漂うサイケデリックポップとリフ主体のハードロック、色々な音楽からの影響を隠さないハイブリッドな方向に。不機嫌で芸術的で知的っぽいバンドになっていきます。
個人的にこのバンドに教わったことで大事だなと思うのは、バンドに限らず物事はひとところにとどまることはないから、前の姿と違って期待はずれだからといって文句言うなという独立精神です。
ほんとにアルバムごとに意図とか背景が全然違うし、思い入れ深いと変化に敏感だったので。でもまあやってる人はほぼ同じで一本筋は通っており、そういう納得させてくれる所がいつもちゃんとあったので、どれも大体いいアルバムだったと思います。
勘とセンスと体力だけで押し切る、まるで原始人みたいな時代の最後を飾る、記念碑的なアルバム。
とはいうものの、そろそろ発売20年を数えようかという現在聴くと音ちっさい...リマスターも聴いてみたいです。
