「西遊妖猿伝」読破

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諸星大二郎/西遊妖猿伝

比較的最近に連載終了し、愛蔵版ででっかい上下巻が出てる「海神記」を興奮しまくりで読んでいて、未完という二文字に膝をついてしまいました。ヒドすぎるよ!
「西遊妖猿伝」も16巻で完結していないと知ったので、終わってない話をこんなでかい高い本で買いたくない、もう本棚にスキマがない、と恨みがましく思ってたのですが、うっかり第一巻を買ってしまいました。買ってしまったら最後、超スピードで全巻揃えることになるのはわかってたけど...

結局最後まで読んで、おわってねーよ!と泣きながら再開を望む毎日になってしまいました。
最近のまんが雑誌は、「蒼天航路」めあてで読んでいたモーニングくらいしかよう知らんのですが、どの雑誌ならふさわしいのか...。
いっそ「テレプシコーラ」(山岸凉子さんは大二郎さんの大ファンだそうです)と一緒に「ダ・ヴィンチ」で連載したらどうだろう。あと呉智英と大槻ケンヂも多分大二郎さんが好きだと思うわ。おかしいなあ。こんな企画とかもやってるようなんだけど他のコンテンツと全く合わない。
やっぱりあの娯楽大活劇はちゃんとした漫画雑誌が相応しいのかもしれない。創★★★は希少文化に投資してほしい。でなきゃちくま書房がまんが雑誌を出版してほしい。
ああもうなんでもいい連載再開してほしい。

話を「西遊妖猿伝」に戻して。

まんが読んでてこんなクールなカッコイイ主人公は初めて見たよと思いました。
最初は、すねて運命なんか知るかといった悟空が、なんとなく事件にまきこまれている内にすっかり成長して立派なヤクザ者になっているところがとてもよい...。
基本が、昔の少年漫画や講談、絵物語みたいな、端正な少年主人公なんだけど(諸星漫画の少年漫画の主人公はみんなそんな感じですが)、どこか醒めた世慣れたコになっちゃうところが、大人っぽくて色気がある感じ。
人のいい玄奘や、ぼける八戒とのやり取りが好きです。

竜児女との経緯はハードボイルドで泣けた〜。3巻でがっしり掴まれました。竜児女は、男と同等に渡り合いたいけど力及ばず、という悩みのある女の子で魅力的。強かったり弱かったり。

紅孩児の妄執も。最初は悟空とコンビを組んで戦うかと思ったのに、ストーカーになっちゃうのずいぶん早かったですね。
なんというか、青春映画だったら、先行して大人になっちゃう友達の足をひっぱる切ない寂しいコ、任侠映画だったら、無宿渡世の主人公につきまとう雑魚の切なさみたいで(みたいでじゃなくてまんま?)結構きました。

そして最後のほうの百花羞と石の話も泣けたーーーそこで振られる恵岸行者もいい〜

全体には、伝奇物語と史実を織り交ぜて、骨ががつんと通ったところに、色々なキャラクターが絡んで百花繚乱、活劇が満載というすんごいエンターテイメントです。追われる悟空が誰かと喧嘩をはじめると、唐や賊の大群が押し寄せて来てわやに、というパターンが多いけど;
また、史実の中で実在の人物や、西遊記のエピソードやキャラクターも姿や設定を変えて出て来たりしてるみたい。もちろん元ネタを知らなくても充分です。
また絵がいいんだよな。途中からどうしたんだというくらい人物デッサン無視しまくりで荒れまくってますけど。週刊誌なのかなと思ったら月間連載ですね。
線が有機的でどっしりした感じ。説得力のある太い線が好きで、勢いのある画面構成もあって荒れててもそんなに気にならないな。
大唐編の最後、黄風大王の一軍を殲滅するシーンなんかは、筆で書きなぐっていく絵にも迫力があってすごいなこりゃ、と独り言を言ってしまいました。

闇の力と光の力の間に身を置いて、闇のパワーを発揮しつつ自分を失わないという表現がすごかった。アレか、昔やったウェイクボードで波に乗れてる最中のイメージ(ちがうだろう...)。緊張しつつ感覚が開かれて高まってる感じ。

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このページは、kaollyが2008年7月21日 06:22に書いたブログ記事です。

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